現在訪問させて頂いている最高齢の方のお話をします。その方は90代の女性ですが、ずいぶん前に人工肛門(ストーマ)をお腹に作られました。当時の技術は今ほど進んでおらず、処置する方法や物品も色々と苦労があったとお聞きしました。当初、この人工肛門の処置を目的に訪問看護が開始となったのですが、90代となった今でも、ご自身でしっかりと処置をされておられます。ある日「私はこの(ストーマ)お陰で助かった。これがあったからしっかりせんなと思って頑張ってきたの。」と当時を振り返って話してくださいました。
とてもお元気なその方は、今では庭先で野菜を育てたり、干し大根を作ったり、編み物や短歌を作ったりされています。「これが今の私の生きがいよ。今年も年を越せました。」とたくさんの趣味を紹介してくださるお姿はとても生き生きとされ、若輩者の私にもパワーを分けてもらっているように感じます。
人はどんな辛いことが起こっても、それを糧に成長する事が出来るそうです。私たちが訪問する患者様はがんの方が多いのですが、死を身近に感じる毎日にも生きる楽しみはあるそうです。それは大きな事や特別な事ではありません。元気な頃は感じなかった小さな事、何の変哲もない事が楽しみや喜びになるのだそうです。
生きる楽しみのお裾分けを毎回頂いている訪問看護は贅沢な職業なのかもしれません。
その方の作品です
文責:訪問看護ステーション長
久保田 優子