腹腔鏡手術について
《腹腔鏡下手術》
腹腔鏡下手術は、小さい穴をお腹に数か所開けて、内視鏡と呼ばれる細い望遠鏡のようなスコープで覗きながら悪い個所を取り除く手術です。この腹腔鏡を用いることによって、手術後の痛みも大きく減り、入院日数も減らすことが可能です。
当院の腹腔鏡下手術は、最新機器(3D内視鏡)にて映像を3D化して、正確かつ迅速に手術を行うことが可能となっています。2014年度、当院の消化器手術の79%は腹腔鏡下手術にて行われています。
《術式別》
胃癌手術
胃の手術は、胃潰瘍で穴が開いた場合や、胃がんが大きくなっていた場合に行います。胃の周囲の重要な血管を止血しながら、周囲のリンパ節を調べます。そして胃の病変箇所を取り除き、食道や十二指腸や小腸と繋げます。最近は手縫いではなく、専用の吻合器を用いて行います。
当院では、回復が早い腹腔鏡下手術を積極的に行っています。2014年度は術後も順調に経過し、縫合不全などの合併症もなく術後14日前後で退院されております。
大腸癌手術
大腸の手術は、大腸に穴が開いた場合や、大腸がんが大きくなっていた場合に行います。大腸周囲の重要な血管を止血しながら、周囲のリンパ節を調べます。そして大腸の病変箇所を取り除き、再び大腸を繋げます。最近は手縫いではなく、専用の縫合器・吻合器を用いて行います。
当院では、回復が早い腹腔鏡下手術を積極的に行っています。2014年度は術後も順調に経過し、縫合不全などの合併症もなく術後14日前後で退院されております。
胆嚢手術
胆嚢の手術は、胆石症や胆管がんなどで胆嚢を取り除く場合に行います。放っておくと胆汁に含まれる消化酵素がお腹に漏れ出したり、膵臓が炎症を起こしたりするので大変です。手順は、胆嚢動脈という血管と、胆嚢管という胆汁が流れる管をクリップして胆嚢を切除し回収します。
この手術は主に腹腔鏡を用いて行っています。2014年度は術後も順調に経過し、胆汁ろうなどの合併症もなく術後7日前後で退院されております。
虫垂炎手術
盲腸は、虫垂と呼ばれる大腸の一部(右下腹部)が腫れて起こります。小さな臓器ですが、放っておくとお腹に便がもれて腹膜炎を起こします。手術では、この虫垂を切除しクリップします。
当院では主に腹腔鏡を用いて行っています。2014年度は術後も順調に経過し、大きな合併症もなく術後7日前後で退院されております。
ヘルニア手術
鼠径ヘルニアは、腸や脂肪などが足の付け根付近を圧迫し、ふくらんでしまう病気です。なかでも腸が出てきた場合は、腸の血流が止まり腐ることもあるので大変です。手術は主に全身麻酔で腹腔鏡下にて行い、メッシュとよばれる素材で腸などが圧迫している穴を、お腹の内側からふさぎます。もしくは下半身麻酔で足の付け根を外から切開し、メッシュを外から固定して穴をふさぎ縫合します。
2014年度は術後も順調に経過し、大きな合併症もなく術後3~7日で退院されております。
「腹腔鏡下ヘルニア手術の利点」
- 腹腔鏡下観察で、複数のヘルニア、症状のない対側のヘルニア診断がほぼ確実です。
- 両側ヘルニアでも同じ傷での手術が可能です。
- 慢性疼痛(1年以上)の危険性が少ないです。
- 手術後の痛みが極めて少ないことから退院後早期にゴルフやジョギング、畑仕事などの重労働作業が開始できます。手術後3日目にはゴルフコースに出かけることも可能です。手術後3日目には重い荷物を持つことも可能です。
- 入院期間の短縮や早期の社会復帰が望めます。創が小さく美容的です。
《3D腹腔鏡下手術について》
2014年9月より、腹腔鏡の器械が新しくなり、当院でも3D腹腔鏡を使った腹腔鏡下手術が可能になりました。3D腹腔鏡は、映画やテレビで見る機会が多くなった映像と同じで、立体的な観察が可能な外科手術用の3D腹腔鏡システムと3Dビデオスコープです。これを使う事で、従来の平面的な映像で困難であった対象臓器の奥行き感の把握ができ、より迅速で正確な外科手術ができます。
手術対象としては、胆嚢、胃、大腸、虫垂、ヘルニアの手術を行っております。腹腔鏡下手術は、開腹手術に比べ、傷も小さく術後の回復が早い事などの利点があり、早期退院や早期社会復帰が可能になります。
その他の手術に関しては「手術について」をご覧ください。