道端に目をやると雨粒を乗せた紫陽花がきれいに咲き並ぶ季節になりましたが皆様体調はいかがでしょうか。
今回のさくら便りは、緩和ケア病棟で大切にしていること、「緩和ケアの心って何?」という事でお話をさせて頂きます。
「緩和ケア」というと、「がんの終末期」と誤解されている方も多いと思います。
しかし、現在は「診断されてから積極的な治療と並行して、早期から患者と家族の痛みや苦痛を軽減していくケア」と見直されています。
痛みや苦痛を伴わない病気はほとんど無く、がんを問わずほぼすべての病気、あらゆる段階が緩和ケアの対象となります。
患者様、ご家族が抱える問題は「トータルペイン」(全人的な痛み)であり、体の痛みだけでなく、心理的(痛みや死に対する恐怖、効果のない治療への怒り)、社会的(家庭での役割の喪失、社会的地位や収入の喪失、疎外感、孤独感)、スピリチュアル(なぜ私が病気になったのか、いったい何のために生きているのか)などの苦痛が体の痛みを増強させます。
トータルペインに対して、医師、看護師だけでなく多職種チームでの関わりが大切となります。
患者様に想いを寄せ、わかろうとする姿勢を大切にしながら、「緩和ケア」の視点を持ち今後も患者様、ご家族と向き合っていきたいと思っております。
在宅・緩和ケア委員会 松山 靖子